マネジメント系 管理 計算あり

プロジェクトマネジメント

計画どおりに進めるしくみ。日程計算もやさしく。

🎯 このレッスンのゴール

  1. 「プロジェクト」とは何か、その2つの特徴を言える
  2. PMBOKの知識エリア(スコープ・スケジュールなど)の役割が分かる
  3. WBSで作業を分解し、スコープを管理する意味が分かる
  4. アローダイアグラムからクリティカルパス(最短完了日数)を計算できる

こんにちは、先生役の「モニタくん」です。前回はシステム開発の流れを学びましたね。今回はその開発を「いつまでに・いくらで・どんな品質で」やりとげるかを管理する技術、プロジェクトマネジメントです。最後のクリティカルパス計算はテストで点を取りやすいので、いっしょにゆっくり攻略しましょう。

1. プロジェクトとは?

プロジェクトとは、独自の目的を達成するために、決まった期間だけ行う活動のことです。ITパスポートでは、プロジェクトには次の2つの特徴があると定義されています。

たとえ話:プロジェクトは「文化祭の出し物」

毎日くりかえす授業は「定常業務」。いっぽう、文化祭の出し物は「11月の本番まで」という期限があり(有期性)、今年だけの独自の企画です(独自性)。これがまさにプロジェクト。終われば解散し、次はまた別の企画になります。会社のシステム開発も同じで、「新しい注文管理システムを来年3月までに作る」といった活動がプロジェクトです。

プロジェクト全体に責任を持ち、計画・実行・管理を率いる人をプロジェクトマネージャ(PM)といいます。PMは、納期・予算・品質を守りながらメンバーをまとめ、問題が起きれば調整する「現場の司令塔」です。

ステークホルダ(利害関係者)

ステークホルダとは、そのプロジェクトに利害や関心を持つすべての人・組織のことです。発注者(顧客)、利用者(ユーザ)、開発メンバー、経営者、協力会社まで含みます。立場によって望むことが食いちがうため、PMはステークホルダの要望を調整することが大切な仕事になります。

具体例

社内の勤怠システムを作るプロジェクトでは、「使いやすさ」を望む社員(利用者)と、「費用を抑えたい」経営者「納期を守りたい」開発チームがステークホルダです。全員の希望を100%かなえるのは難しいので、PMが優先順位をつけて調整します。

2. PMBOK(知識エリア)

プロジェクトマネジメントの世界的な知識体系をまとめたガイドがPMBOK(ピンボック)です。PMBOKでは、管理すべき分野を「知識エリア」として整理しています。何を管理するのか、全体像をつかみましょう。

知識エリア管理する内容(ざっくり)
スコープ作業や成果物の範囲。「どこまでやるか」を決め、はみ出しを防ぐ。
スケジュール各作業の日程・順序・期間。納期に間に合うよう管理する。
コスト費用・予算。見積りと実績を比べ、予算内に収める。
品質成果物が要求された品質基準を満たすかを管理する。
資源人・設備・道具などのリソースを確保・配分する。
コミュニケーション必要な情報を関係者へ正しく伝えるしくみを管理する。
リスク将来起こりうる不確実なできごとを洗い出し、備える。
調達外部からの購入・外注(契約)を管理する。
ステークホルダ関係者の要望や期待を把握し、調整する。
統合上の各エリアをまとめて全体最適になるよう調整する。
注意:全部を丸暗記しなくてOK

ITパスポートでは、知識エリアの名前をすべて暗記するより、「スコープ=範囲」「スケジュール=日程」「コスト=費用」のように、言葉とその役割が結びつくことが大切です。とくに次に学ぶスコープスケジュールは、具体的な道具(WBSやアローダイアグラム)まで出題されます。

3. スコープ管理とWBS

スコープ管理とは、「このプロジェクトでどこまでやるか(範囲)」を決めて守ることです。範囲があいまいだと、作業がどんどん増えて納期も予算もオーバーしてしまいます。

そこで使う代表的な道具がWBS(Work Breakdown Structure=作業分解構成図)です。WBSは、大きな作業を木(ツリー)の形でどんどん細かく分解して整理した図のことです。

WBSのねらい

大きな作業のままだと「どれくらい時間がかかるか」「だれがやるか」が見えません。WBSで管理できる小ささまで分解すると、ひとつひとつに期間・担当・費用を割りふれるようになります。つまりWBSは、スケジュールやコストを見積もるための土台になります。

たとえ話:カレー作りを分解する

「カレーを作る」だけでは大きすぎます。これを「買い物 → 下ごしらえ → 煮込む → 盛りつけ」に分け、さらに「下ごしらえ」を「野菜を切る・肉を切る」に分ける――この段々に細かくする作業がWBSです。細かくすれば「野菜を切るのは10分」のように見積もれますね。

4. スケジュール管理(日程の道具)

作業を分解したら、次は「どの順番で、いつまでに」進めるかを管理します。ここで使う代表的な図が2つあります。

ガントチャート

ガントチャートは、作業を横棒(バー)で表し、横軸を時間(カレンダー)にした表です。どの作業がいつ始まっていつ終わるか、進み具合(進捗)が一目で分かるのが長所です。

具体例

「設計=4/1〜4/5、開発=4/6〜4/20」のように、作業ごとに横棒を引きます。今日が4/10なら、開発の棒が半分まで塗られていれば「予定どおり」、ほとんど塗られていなければ「遅れている」と分かります。進捗管理に向いています。

アローダイアグラム(PERT図)

アローダイアグラム(PERT図)は、作業の順序(前後関係)矢印(アロー)で表した図です。「Aが終わらないとBは始められない」といったつながりを表すのが得意で、ここから後で学ぶクリティカルパスを求められます。

得意なこと
ガントチャート作業の進捗(進み具合)を見える化する
アローダイアグラム作業の順序・つながりを表し、最短日数を計算する
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5. クリティカルパスを計算しよう

いよいよ計算です。むずかしそうに見えますが、やることは「ルートごとに日数を足して、いちばん長いものを選ぶ」だけ。順を追えば必ずできます。

クリティカルパスとは

クリティカルパス(重要経路)とは、スタートからゴールまでの経路のうち、日数の合計がいちばん長い経路のことです。なぜ「いちばん長い」が大事かというと、すべての作業が終わってはじめてプロジェクトは完了するから。いちばん時間がかかる経路が終わるまで、ゴールできません。つまり――

クリティカルパスの日数 = プロジェクト全体の最短完了日数 になります。

ここを誤解しやすい!

「最短完了日数」なのにいちばん長い経路を選ぶ、というのが引っかけポイントです。短い経路の作業が早く終わっても、長い経路が残っていればプロジェクトは終われません。だから全部の経路のうち最長=全体の最短完了になるのです。

例題:3つの経路で考える

あるプロジェクトに、A〜Fの作業があります。スタート地点から作業が枝分かれし、ゴールで合流します。各作業の所要日数(かかる日数)は次のとおりです。

作業所要日数前の作業(先に終える必要があるもの)
A3日なし(スタートから開始)
B5日なし(スタートから開始)
C2日なし(スタートから開始)
D4日A のあと
E4日B のあと
F6日C のあと

この場合、スタートからゴールまでの経路は3本あります。A→D、B→E、C→F のルートです。それぞれの日数を合計してみましょう。

経路(ルート)計算合計日数
A → D3 + 47日
B → E5 + 49日
C → F2 + 68日
答え合わせ

いちばん長い経路は B → E の9日。これがクリティカルパスです。よって、このプロジェクトの最短完了日数は9日になります。
A→D(7日)やC→F(8日)が先に終わっても、B→E(9日)が終わらないとゴールできない、というわけですね。

もう一歩:余裕日数(フロート)

クリティカルパス上の作業(BとE)は1日も遅れられません。遅れるとそのまま全体の遅れになるからです。いっぽう、A→D(7日)は全体9日に対して2日の余裕があります。この遅れてもよい余裕を余裕日数(フロート)といいます。クリティカルパス上の作業は余裕日数がゼロ、と覚えておきましょう。

大事なのは「経路ごとに足し算 → いちばん大きい数を選ぶ」だけ。もし納期を早めたいなら、クリティカルパス上の作業(ここではBやE)を短くするのが効果的です。余裕のある経路を短くしても、全体の日数は変わりませんよ。

6. コスト管理(見積り)

コスト管理は、プロジェクトにかかる費用を見積もり、予算内に収める活動です。費用のもとになるのは、主に人件費(人の作業時間)です。

具体例:人月(にんげつ)で見積もる

「1人が1か月働く作業量」を1人月(にんげつ)といいます。ある開発が6人月かかると見積もられたなら、3人で取り組めば 6 ÷ 3 = 2か月が目安です。WBSで作業を細かく分けておくと、こうした見積りがしやすくなります。

人を増やせば早く終わる…とは限らない

「6人月だから6人で1か月」と単純にいかないことも多いです。人が増えると打ち合わせや調整の手間(コミュニケーションコスト)が増え、かえって遅くなることもあります。見積りはあくまで目安、と理解しておきましょう。

7. 品質管理とリスク管理

最後に、残りの管理のさわりも押さえておきましょう。

品質管理

品質管理は、成果物が求められた品質基準を満たしているかを確かめ、保つ活動です。テストの件数やバグ(不具合)の数などを記録し、目標どおりかをチェックします。問題があれば原因を調べて改善します。

リスク管理

リスク管理は、将来起こるかもしれない不確実なできごと(リスク)に前もって備える活動です。流れは「洗い出し → 分析(大きさ・起こりやすさ) → 対応策を決める」です。

リスクへの対応意味(例)
回避リスクの原因そのものをなくす(危ない方法を採用しない)
軽減(低減)起こる確率や影響を小さくする(バックアップを取る)
転嫁(移転)他者に肩代わりしてもらう(保険に入る・外注する)
受容影響が小さいので、あえて何もせず受け入れる
ポイント:リスクは「悪いこと」だけとは限らない

PMBOKでは、良い方向の不確実さ(チャンス)もリスクに含めて管理します。ただしITパスポートでは、まずは「悪いことに前もって備える」という基本イメージを押さえておけば十分です。

おつかれさまでした! 今回のヤマはWBSクリティカルパス計算。計算は「経路ごとに足して最長を選ぶ」だけだと、もう分かりましたね。では確認テストで定着させましょう。

演習確認テスト(○×・全7問)

〇か×で答えてみましょう。ボタンを押すと答えと解説が出ます。

Q1. プロジェクトには「有期性(開始と終了が決まっている)」という特徴がある。

正解は 。プロジェクトは「有期性(期限がある)」と「独自性(成果がその都度ことなる)」の2つを持つ活動です。

Q2. ステークホルダとは、プロジェクトに利害や関心を持つ人・組織のことである。

正解は 。顧客・利用者・開発メンバー・経営者など、利害関係を持つすべての人がステークホルダです。

Q3. WBSは、大きな作業をツリー状に細かく分解して整理した図である。

正解は 。WBS(作業分解構成図)は作業を管理できる小ささまで分解し、見積りや割りふりの土台にします。

Q4. 作業の進捗を横棒で見える化する図を「アローダイアグラム」という。

正解は ×。横棒で進捗を見せるのはガントチャートです。アローダイアグラムは矢印で作業の順序を表す図です。

Q5. クリティカルパスとは、スタートからゴールまでで日数の合計が最も長い経路である。

正解は 。最も長い経路がクリティカルパスで、その日数がプロジェクト全体の最短完了日数になります。

Q6. A→D が7日、B→E が9日、C→F が8日のとき、最短完了日数は7日である。

正解は ×。最も長い経路はB→Eの9日。すべての作業が終わって完了なので、最短完了日数は9日です。

Q7. リスク対応のうち、保険に入って損害を肩代わりしてもらうのは「転嫁(移転)」である。

正解は 。リスクを他者に肩代わりしてもらうのが転嫁(移転)です。保険や外注がその代表例です。

暗記一問一答(全8問)
Q1. プロジェクトの2つの特徴は?
A. 有期性(開始と終了が決まっている)と独自性(成果がその都度ことなる)です。
Q2. プロジェクト全体に責任を持ち、計画・実行・管理を率いる人を何という?
A. プロジェクトマネージャ(PM)です。
Q3. プロジェクトマネジメントの知識体系をまとめたガイドの名前は?
A. PMBOK(ピンボック)です。スコープやスケジュールなどの知識エリアで構成されます。
Q4. 「作業や成果物の範囲」を管理する知識エリアは?
A. スコープ管理です。代表的な道具がWBSです。
Q5. 作業をツリー状に細かく分解して整理した図の名前は?
A. WBS(作業分解構成図)です。見積りや担当割りふりの土台になります。
Q6. 作業の順序(前後関係)を矢印で表す図を何という?
A. アローダイアグラム(PERT図)です。ここからクリティカルパスを求めます。
Q7. クリティカルパスの日数は、プロジェクトの何を表す?
A. プロジェクト全体の最短完了日数です(=経路のうち最長の日数)。
Q8. 「1人が1か月働く作業量」を表す見積りの単位は?
A. 1人月(にんげつ)です。例:6人月を3人で行うと約2か月が目安です。

📌 このレッスンのまとめ

  • プロジェクトは有期性独自性を持つ活動。率いるのがPM、関わる人がステークホルダ
  • PMBOKは管理分野を「知識エリア」(スコープ・スケジュール・コスト・品質・リスクなど)で整理したガイド。
  • スコープ管理の道具がWBS(作業を細かく分解し、見積りの土台にする)。
  • スケジュールの道具は、進捗を見せるガントチャートと、順序を表すアローダイアグラム
  • クリティカルパス=最長の経路=全体の最短完了日数。経路ごとに足し算し、最大を選ぶ。
  • コストは人月などで見積もり、品質は基準達成を確認、リスクは回避・軽減・転嫁・受容で備える。