🎯 このレッスンのゴール
- OS(基本ソフト)が何をしてくれているのか、5つの管理を言える
- ディレクトリの階層構造と、絶対パス・相対パスの書き方が分かる
- 表計算の相対参照・絶対参照($の意味)を使い分けられる
- 可逆圧縮・非可逆圧縮のちがいと、代表的なファイル形式が分かる
前回はハードウェアの「体」を学びましたね。今回は、その体を動かす「頭脳のしくみ=ソフトウェア」のお話です。とくにOS(オーエス)と表計算はITパスポートの超頻出。むずかしい用語も、身近なたとえで一つずつほどいていきましょう。
1. OS(オペレーティングシステム)の役割
OS(オペレーティングシステム)とは、コンピュータ全体を管理し、人やアプリ(応用ソフト)とハードウェアのあいだを取り持つ基本ソフトのことです。私たちがアプリを使えるのも、裏でOSがCPU・メモリ・ディスクなどを上手にやりくりしてくれているからです。
ホテルでは、お客さん(アプリ)が「部屋を使いたい」「食事を出して」と頼むと、支配人(OS)が空き部屋(メモリ)を割り当て、料理人(CPU)に順番を指示し、忘れ物(ファイル)を金庫で管理します。お客さんは裏方の苦労を知らなくても快適に過ごせる――これがOSの役割です。
OSが行っているおもな管理は、次の5つにまとめられます。
| 管理のしごと | 内容(ざっくり) |
|---|---|
| 資源管理 | CPU・メモリ・周辺機器などの「資源」を、複数のアプリで取り合わないよう割り当てる。 |
| タスク管理 | 複数の処理(タスク)の実行順や切り替えを調整する。同時に動いて見えるのはこのおかげ。 |
| メモリ管理 | アプリにメモリ領域を割り当て・解放する。足りない分をディスクで補う仮想記憶も担当。 |
| ファイル管理 | データをファイル・フォルダとして整理し、読み書きできるようにする。 |
| ユーザ管理 | だれがログインしてよいか、どのファイルを使えるか(権限)を管理する。 |
OSの役割は「資源・タスク・メモリ・ファイル・ユーザを管理すること」とセットで覚えましょう。試験では「OSの役割でないものはどれ?」のように出ます。たとえば「表計算の関数を計算する」のは応用ソフトの仕事で、OSの役割ではありません。
代表的なOSの種類
| OS | おもな用途・特徴 |
|---|---|
| Windows | パソコン向けで世界的に普及。マイクロソフト社製。 |
| macOS | アップル社のパソコン(Mac)向けOS。 |
| Linux(リナックス) | OSSとして無料で使える。サーバでよく使われる。 |
| Android / iOS | スマートフォン・タブレット向けのOS。 |
2. ソフトウェアの分類とOSS
ソフトウェアは、大きく基本ソフトウェアと応用ソフトウェアに分けられます。
- 基本ソフトウェア:OSなど、コンピュータを動かす土台になるソフト。
- 応用ソフトウェア(アプリケーション):ワープロ・表計算・ブラウザなど、目的に応じて使うソフト。基本ソフトの上で動きます。
その中間に、機器を制御するミドルウェアやデバイスドライバが入ることもありますが、まずは「基本ソフトの上に応用ソフトが乗る」という重なりをイメージできれば十分です。
OSSとは、ソースコード(プログラムの中身)が公開され、だれでも自由に使用・改変・再配布できるソフトのことです。Linux、Firefox、LibreOfficeなどが有名。「無料」であることが多いですが、ポイントは無料そのものではなくソースコードが公開されている点と、その利用条件を定めたライセンスに従う必要がある点です。
OSSにもライセンスがあり、「改変したら同じ条件で公開する」など守るべきルールがあります。「OSSは作者の許可なしに何でも自由にしてよい」「OSSは必ず無料でなければならない(有償サポート付きで提供してもよい)」という言い回しは×になりがちです。
3. ファイル管理(ディレクトリとパス)
ファイルは、ディレクトリ(フォルダ)の中に整理して保存します。フォルダの中にさらにフォルダを作れるので、全体は木の枝のような階層構造(ツリー構造)になります。いちばん上の階層をルートディレクトリ、いま作業している場所をカレントディレクトリと呼びます。
目的のファイルにたどり着く道順をパス(path)といいます。これは住所のようなもの。書き方には2種類あります。
・絶対パス=「いちばん上(ルート)」から書いた、どこから見ても同じ完全な住所。
・相対パス=「いまいる場所」を基準にした近道の道順。
相対パスでは、特別な記号を使います。
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| .(ドット1つ) | カレントディレクトリ(いまいる場所) |
| ..(ドット2つ) | 1つ上の階層(親ディレクトリ) |
| / | 階層の区切り |
ルートの下に 会社 / 営業部 / 資料 というフォルダがあり、その中に 計画.xlsx があるとします。
・絶対パス:/会社/営業部/資料/計画.xlsx(ルートから完全に指定)
・いま /会社/営業部 にいるときの相対パス:資料/計画.xlsx
・いま /会社/総務部 にいるなら:../営業部/資料/計画.xlsx(.. で会社まで戻ってから下りる)
拡張子とバックアップ
ファイル名の最後の「.◯◯」を拡張子(かくちょうし)といい、ファイルの種類を表します(.txt=文章、.xlsx=表計算、.jpg=画像 など)。また、故障や誤操作に備えてデータの複製を別の場所に取っておくことをバックアップといいます。元データと同じ機器に置くと一緒に壊れるため、別の装置・場所に保存するのが基本です。
4. 表計算ソフト(ここが頻出!)
表計算ソフトは、マス目に数値や式を入れて自動計算できる応用ソフトです。1つ1つのマスをセルといい、列(A・B・C…)と行(1・2・3…)の組み合わせ(例:B2)で場所を表します。セルに「=」で始まる式を書くと、計算結果が表示されます。
関数の考え方
よく使う計算は関数として用意されています。考え方をつかみましょう(関数名は教材で異なることがあります)。
| やりたいこと | 関数の例 | 意味 |
|---|---|---|
| 合計 | 合計(B2:B5) | B2からB5までを足す |
| 平均 | 平均(B2:B5) | B2からB5までの平均を出す |
| 個数 | 個数(B2:B5) | 数値が入ったセルの数を数える |
| 最大・最小 | 最大(B2:B5) / 最小(B2:B5) | 範囲の中で最も大きい/小さい値 |
| 条件分岐 | IF(条件, 真のとき, 偽のとき) | 条件を満たすかで表示を切り替える |
点数がB2にあり、「=IF(B2>=60, "合格", "不合格")」と書くと、B2が60以上なら「合格」、そうでなければ「不合格」と表示されます。「もし〜なら、Aを、ちがえばBを」という分かれ道を作るのがIFです。
相対参照と絶対参照($の意味)
表計算で最重要なのが、式をコピーしたときにセル番地がずれるか・ずれないかの使い分けです。
- 相対参照(例:
B2)…式をコピーすると、コピー先に合わせて参照先が自動でずれる。 - 絶対参照(例:
$B$2)…$を付けた部分は、コピーしてもずれず固定される。
$は「すぐ右の文字を固定する鍵」です。
・$B$2=列も行も固定(完全固定)
・$B2=列Bだけ固定、行はずれる
・B$2=行2だけ固定、列はずれる
列だけ・行だけ固定する形を複合参照と呼びます。
下の表で、各商品の「割引後価格=価格 × (1 − 割引率)」を計算します。割引率はD1セット(10%)を全商品で共通に使いたいので、ここを絶対参照 $D$1 で固定します。
| A(商品) | B(価格) | C(割引後) | D | |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 割引率 | 0.1 | ||
| 2 | りんご | 100 | =B2*(1-$D$1) → 90 | |
| 3 | みかん | 200 | =B3*(1-$D$1) → 180 | |
| 4 | ぶどう | 500 | =B4*(1-$D$1) → 450 |
もしC2を「=B2*(1-D1)」と相対参照で書いてC3・C4へコピーすると、割引率の参照が D2 → D3 とずれて空欄を見てしまい、計算が狂います。みんなで共通に使う値は絶対参照で固定――これが$を使う最大の理由です。
5. ヒューマンインタフェース(UI/UX)
人とコンピュータが情報をやりとりする接点をヒューマンインタフェース(UI)といいます。とくにアイコンやボタンを見ながらマウスなどで操作する画面をGUI(グラフィカルユーザインタフェース)と呼びます。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| UI(ユーザインタフェース) | 操作画面など、人と機械の接点・見た目や操作のしくみ。 |
| UX(ユーザエクスペリエンス) | 使ったときの体験全体(分かりやすい・心地よいなどの満足感)。 |
| ユニバーサルデザイン | 年齢・障害・言語などに関係なく、はじめから誰もが使いやすいように設計する考え方。 |
| アクセシビリティ | 高齢者や障害のある人を含め、誰もが情報やサービスに支障なく到達できる度合い。 |
ユニバーサルデザインは「最初から皆が使えるよう作る設計思想」、アクセシビリティは「使いやすさ・到達しやすさの度合い」。混同しやすいので、UD=設計の考え方、アクセシビリティ=程度(やさしさの量)とおさえましょう。
6. マルチメディア(文字・画像・音声・動画)
文字・画像・音声・動画などをまとめて扱うのがマルチメディアです。コンピュータはすべてを0と1(デジタル)で表します。
文字コード
文字に番号を割り当てて数値で表す決まりが文字コードです。日本語を扱えるシフトJISや、世界中の文字を1つの体系で扱えるUnicode(ユニコード/UTF-8など)が代表例。送り手と受け手で文字コードが食いちがうと、表示が崩れる文字化けが起こります。
画像のしくみ
画像は画素(ピクセル)という小さな点の集まりでできています。点が多いほどきめ細かく、その細かさを解像度といいます(dpiは1インチあたりの点の数)。色は光の三原色RGB(赤・緑・青)の組み合わせで表します。
デジタル画像は、たくさんの色付きタイル(画素)を敷きつめたモザイク画のようなもの。タイルが多い(高解像度)ほどなめらかに見えますが、その分データは大きくなります。だから圧縮でサイズを小さくする工夫が必要になります。
圧縮:可逆と非可逆
データを小さくするのが圧縮。元に戻せるかどうかで2種類あります。
| 種類 | 特徴 | 使われる例 |
|---|---|---|
| 可逆圧縮 | 圧縮しても完全に元に戻せる(画質・データの劣化なし)。 | PNG、GIF、ZIP |
| 非可逆圧縮 | 一部の情報を捨てて強く小さくできるが、元には戻せない(劣化あり)。 | JPEG、MP3、MP4 |
| 形式 | 種類 | とくちょう |
|---|---|---|
| JPEG | 画像(非可逆) | 写真向き。色数が多くサイズを小さくできる。 |
| PNG | 画像(可逆) | 劣化なし。背景の透明を扱える。 |
| GIF | 画像(可逆) | 色数は少なめ。簡単なアニメが作れる。 |
| MP3 | 音声(非可逆) | 音楽を小さく保存。 |
| MP4 | 動画(非可逆) | 映像+音声をまとめて保存。 |
「写真をきれいかつ小さく=JPEG(非可逆)」「ロゴや図・透明を残したい=PNG(可逆)」と使い分けます。JPEGは保存を繰り返すほど劣化が進む点もポイントです。
CG・VR・AR
コンピュータで作る画像・映像をCG(コンピュータグラフィックス)といいます。さらに、
- VR(仮想現実):ゴーグルなどで、つくられた世界に入り込んだように感じさせる技術。
- AR(拡張現実):現実の風景にデジタル情報を重ねて表示する技術(スマホで現実にキャラを重ねるなど)。
Q1. OS(基本ソフトウェア)の役割には、メモリ管理やファイル管理などの「資源の管理」が含まれる。
正解は 〇。OSは資源・タスク・メモリ・ファイル・ユーザを管理し、アプリとハードの橋渡しをします。
Q2. オープンソースソフトウェア(OSS)は、ソースコードが公開されていないソフトウェアのことである。
正解は ×。OSSはソースコードが公開され、ライセンスに従って自由に使用・改変・再配布できるソフトです。
Q3. 相対パスの「..」は、ルートディレクトリ(最上位)を表す。
正解は ×。「..」は1つ上の階層(親ディレクトリ)です。いまいる場所は「.」で表します。
Q4. 表計算で「$B$2」は、式をコピーしても参照先がずれない絶対参照である。
正解は 〇。$を付けた列・行は固定されます。$B$2は列・行とも固定の完全な絶対参照です。
Q5. JPEGは可逆圧縮で、何度保存しても画質はまったく劣化しない。
正解は ×。JPEGは非可逆圧縮で、情報を捨てて小さくするため劣化します。劣化なしの可逆圧縮はPNGやGIFです。
Q6. ユニバーサルデザインとは、年齢や障害などに関係なく、はじめから誰もが使いやすいように設計する考え方である。
正解は 〇。最初から多くの人が使えるよう設計するのがユニバーサルデザイン。到達しやすさの度合いはアクセシビリティです。
Q7. AR(拡張現実)とは、ゴーグルでつくられた仮想空間に完全に入り込む技術のことである。
正解は ×。それはVR(仮想現実)の説明です。ARは現実の風景にデジタル情報を重ねる技術です。
Q1. アプリとハードウェアの橋渡しをし、コンピュータ全体を管理する基本ソフトを何という?
Q2. OSが行う「メモリが足りないときディスクで補う」しくみを含む管理は?
Q3. ソースコードが公開され、自由に改変・再配布できるソフトを何という?
Q4. 最上位(ルート)から書く完全なパスを何という?
Q5. 表計算で $B2 のように列だけ固定する参照を何という?
$のすぐ右が固定されます。Q6. 圧縮しても完全に元に戻せる圧縮方式は? 代表的な画像形式も。
Q7. 写真向きで、強く圧縮できるが劣化する画像形式は?
Q8. 現実の風景にデジタル情報を重ねて表示する技術は?
📌 このページのまとめ
- OSは基本ソフトで、資源・タスク・メモリ・ファイル・ユーザを管理し、アプリとハードを橋渡しする。
- ファイルは階層構造で整理。パスは絶対パス(ルートから)と相対パス(現在地から/
.=今、..=1つ上)。 - ソフトは基本ソフトと応用ソフトに分かれ、OSSはソースコード公開でライセンスに従う。
- 表計算は相対参照(ずれる)と絶対参照 $(固定)。共通の値は
$D$1のように固定する。 - UI/UX、ユニバーサルデザイン(設計思想)とアクセシビリティ(到達しやすさ)を区別。
- 圧縮は可逆(PNG・GIF・ZIP)と非可逆(JPEG・MP3・MP4)。VRは仮想世界、ARは現実に重ねる。