🎯 このレッスンのゴール
- LANとWAN、有線と無線のちがいを説明できる
- TCP/IPとパケット交換の考え方をイメージできる
- IPアドレス(IPv4・IPv6・NAT)、ポート番号、MACアドレスの役割を区別できる
- DNSと代表的なプロトコル(HTTP・SMTPなど)の役目を言える
- 通信速度(bps)から、転送時間をかんたんに計算できる
こんにちは、案内役の「モニタくん」です。ネットワークは用語がたくさんで身がまえちゃうけれど、じつは「手紙のやりとり」にそっくり。住所(IPアドレス)を書いて、郵便局(ルータ)が中継して、宛先に届く――そんなイメージで読み進めれば、ぜんぶつながって見えてきますよ。
1. ネットワークの種類(LANとWAN)
ネットワークとは、複数のコンピュータや機器をつないで、データをやりとりできるようにしたしくみのことです。つなぐ「範囲の広さ」によって、大きく2つに分けられます。
| 名前 | 範囲 | 例 |
|---|---|---|
| LAN(ラン) | 家庭・会社・学校など、せまい範囲のネットワーク | 自宅のWi-Fi、オフィスの社内ネット |
| WAN(ワン) | LAN同士をつなぐ、広い範囲のネットワーク | 離れた支社をつなぐ回線、インターネット |
LANは Local Area Network、WANは Wide Area Network の略です。家のなかのLANを、通信会社(プロバイダ)の回線を通じて外の世界=WAN/インターネットにつなぐ、というのが基本の形です。
LANは「家のなかの廊下」、WANは「家と家を結ぶ公道」のイメージです。家のなかは自分のルールで自由に行き来できますが、外に出るときは公道(WAN)を通って、ほかの家(別のネットワーク)へ向かいます。インターネットは、世界じゅうのLANをつないだ「巨大な公道網」だと考えるとわかりやすいですよ。
有線と無線
つなぎ方には、ケーブルを使う有線と、電波を使う無線があります。
- 有線LAN:LANケーブル(より対線)で機器をつなぐ方式。安定して速い。規格名は イーサネット(Ethernet)。
- 無線LAN(Wi-Fi):電波でつなぐ方式。ケーブルがいらず便利だが、電波の届く範囲やセキュリティに注意が必要。SSID(無線LANのネットワーク名)を選んで接続します。
電波は空間を飛ぶため、有線よりも盗聴(通信のぬすみ見)のリスクがあります。そこで WPA2/WPA3 という暗号化方式で通信を保護します。暗号化のない公衆Wi-Fiは危険、というのは試験でもよく問われるポイントです。
2. 通信のルール:TCP/IP とパケット交換
ネットワークでは、世界じゅうのちがうメーカーの機器が会話します。そのために「共通の話しかた(ルール)」が必要です。このルールを プロトコル といいます。
インターネットで使われる代表的なプロトコルの集まりが TCP/IP です。役割ごとに階層(レイヤ)に分けて考えるのが特徴で、各階層が自分の仕事だけに集中できるようになっています。
| 階層 | やくわり(ざっくり) | 代表例 |
|---|---|---|
| アプリケーション層 | アプリが使うやりとりのルール | HTTP・SMTP・DNS |
| トランスポート層 | データを確実に/速く届ける | TCP・UDP |
| インターネット層 | 住所(IP)をたよりに相手まで運ぶ | IP |
| ネットワークインタフェース層 | すぐとなりの機器へ実際に送る | イーサネット・Wi-Fi |
TCPは「届いたか確認しながら、確実に」送る方式(Webやメール向き)。UDPは「確認は省いて、とにかく速く」送る方式(動画・音声の配信向き)。ていねいなTCP、スピード重視のUDP、と覚えましょう。
パケット交換
大きなデータは、そのまま送るのではなく パケット という小さなかたまりに分けて送ります。各パケットには「宛先」「順番」などの情報がつき、別々の経路を通って相手に届き、最後に元どおり組み立て直されます。このしくみを パケット交換 といいます。
大きな荷物を1台のトラックで運ぶと、道がふさがると全部が止まってしまいます。そこで荷物を小箱(パケット)に分け、それぞれ番号をつけて別々の道で送れば、空いている道を使えて効率的。届いたら番号順に並べ直せば元どおり。これがパケット交換の発想です。
3. IPアドレス:ネットワーク上の「住所」
IPアドレスは、ネットワークにつながった機器1台1台につけられる住所です。これがあるからこそ、世界じゅうのどのコンピュータへもデータを届けられます。
IPv4 と IPv6
| 種類 | 長さ | 表記の例 | 使える数 |
|---|---|---|---|
| IPv4 | 32ビット | 192.168.0.1(0〜255の数を4つ) | 約43億個 |
| IPv6 | 128ビット | 2001:db8::1(16進数を「:」で区切る) | ほぼ無限(約340澗個) |
スマホ・家電・IoT機器まで何でもネットにつながる時代になり、IPv4の約43億個では住所が足りなくなりました(IPアドレスの枯渇)。そこで、けた違いに多くの住所を用意できるIPv6への移行が進められています。「v4が足りない→v6で増やす」と押さえればOKです。
グローバルとプライベート、そしてNAT
IPアドレスには、使う場所によって2種類あります。
- グローバルIPアドレス:インターネット全体で使う、世界に1つだけの住所。重複は許されません。
- プライベートIPアドレス:家庭や会社のLANのなかだけで使う住所。別のLANとなら同じ番号でもOK。
LANのなかのプライベートIPのままでは外(インターネット)と通信できません。そこでルータが、プライベートIPとグローバルIPを変換します。この変換を NAT(ナット) といいます。
プライベートIPは「内線番号」、グローバルIPは「会社の代表電話番号」のようなもの。社内では内線(プライベートIP)で十分ですが、外と話すときは代表番号(グローバルIP)を通します。この「内線⇔代表番号」の取り次ぎ役がNATです。同じ内線番号がほかの会社にあっても問題ないのと同じで、プライベートIPは別のLANと重なってもかまいません。
ポート番号
IPアドレスが「建物の住所」なら、ポート番号は「部屋番号」です。1台のコンピュータでWeb・メール・ファイル転送などを同時に動かせるのは、サービスごとにポート番号で入口を分けているからです。
| サービス | 代表的なポート番号 |
|---|---|
| HTTP(Web) | 80 |
| HTTPS(暗号化Web) | 443 |
| SMTP(メール送信) | 25 |
MACアドレス
MACアドレスは、ネットワーク機器(LANカードなど)に製造時から付けられている、世界で1つの固有の番号です。IPアドレスが「あとから割り当てる住所(変わりうる)」なのに対し、MACアドレスは「機器そのものに刻まれた背番号(基本変わらない)」だと考えるとちがいがはっきりします。
4. DNS と URL:名前を住所に変える
私たちは www.example.co.jp のようなドメイン名でサイトにアクセスしますが、コンピュータどうしはIPアドレスでしか通信できません。そこで、ドメイン名をIPアドレスに変換するしくみが DNS です。
友だちの「名前」は覚えていても「電話番号」までは暗記していませんよね。電話帳で名前→番号を調べるように、DNSはドメイン名→IPアドレスを調べてくれます。だからこそ、覚えにくい数字の住所ではなく、わかりやすい名前でアクセスできるのです。
URLのしくみ
ブラウザのアドレス欄に入れる文字列が URL(Web上の住所)です。次のような部品でできています。
| 部分 | 例 | 意味 |
|---|---|---|
| スキーム(プロトコル) | https:// | どのルールで通信するか |
| ドメイン名(ホスト名) | www.example.co.jp | どのサーバへ行くか |
| パス | /news/index.html | そのサーバ内のどのファイルか |
代表的なプロトコルの役割
アプリケーション層には、目的ごとにたくさんのプロトコルがあります。「何をするためのルールか」をセットで覚えましょう。
| プロトコル | やくわり |
|---|---|
| HTTP | Webページを送受信する |
| HTTPS | HTTPを暗号化して安全にする(盗聴・改ざん対策) |
| SMTP | メールを送信する |
| POP(POP3) | メールを受信する(端末にダウンロードして読む) |
| IMAP | メールを受信する(サーバに置いたまま読む) |
| FTP | ファイルを転送する |
| DHCP | 機器にIPアドレスを自動で割り当てる |
| DNS | ドメイン名をIPアドレスに変換する |
どちらも「受信」用ですが、POPは端末にダウンロードして保存、IMAPはサーバに置いたまま閲覧します。複数の端末(スマホ・PC)で同じメールを見たいならIMAPが便利。「送信=SMTP、受信=POP/IMAP」をまず固めましょう。
5. 通信機器:ルータ・ハブ・スイッチ・AP
ネットワークをつなぐ機器にも、それぞれ役割分担があります。
| 機器 | やくわり |
|---|---|
| ルータ | ちがうネットワークどうしをつなぐ。IPアドレスを見て最適な経路を選ぶ(NATもここで行う)。LANをインターネットへつなぐ出入口。 |
| ハブ | 複数の機器を集めてつなぐ中継器。届いた信号をつながる全員に流す(単純なもの)。 |
| スイッチ(スイッチングハブ) | MACアドレスを見て、宛先の機器だけにデータを送る、かしこいハブ。むだな通信が減る。 |
| アクセスポイント(AP) | 無線LANの電波の出入口。Wi-Fi機器を有線ネットワークに橋渡しする。 |
ルータは交差点のおまわりさんのように、「この荷物(パケット)はあちらの道へ」と行き先ごとに振り分けます。ハブは「とりあえず全員に配るチラシ配り」、スイッチは「宛名を見て本人にだけ手渡す配達員」。同じ中継でも、かしこさがちがうわけです。
6. メールのしくみ(To・Cc・Bcc)
メールは、送信のときSMTP、受信のときPOPまたはIMAPを使います。送信サーバから相手の受信サーバまでバケツリレーのように運ばれ、相手が受信操作をして読みます。
宛先の書き方にも3種類あり、ちがいが試験で問われます。
| 欄 | 意味 | ほかの人から見えるか |
|---|---|---|
| To | おもな宛先(その人に出すメール) | 見える |
| Cc | 参考に送る同報先(カーボンコピー) | 見える |
| Bcc | こっそり送る同報先(ブラインドCC) | ほかの受信者には見えない |
関係のない多人数へ一斉にメールを送るとき、ToやCcに全員のアドレスを入れると、互いのメールアドレスが見えてしまい個人情報の漏えいになります。こうした場合は Bcc を使うのが鉄則です。実務でも頻出のマナーです。
7. 通信速度(bps)と転送時間の計算
通信の速さは bps(ビーピーエス/bits per second)=「1秒間に運べるビット数」で表します。数字が大きいほど速いネットワークです。1,000bps=1kbps、1,000kbps=1Mbps、1,000Mbps=1Gbps と桁が上がります。
1本の回線でどれだけのデータを同時に運べるか、その太さを帯域(帯域幅)と呼びます。帯域が広いほど、たくさんのデータをまとめて送れます。
注意点は単位。データ量はバイト(Byte)、通信速度はビット(bit)で表されることが多く、1バイト=8ビットで必ずそろえてから割り算します。
「10メガバイト(MB)のファイルを、20Mbpsの回線で送ると何秒かかる?」
① 単位をそろえる:データ量 10MB = 10 × 8 = 80メガビット(Mbit)。
② 割り算:80Mbit ÷ 20Mbps = 4秒。
(実際は通信の効率(伝送効率)が100%にならないため、もう少し時間がかかります。試験では「効率○%」と条件が付くこともあります。)
IoT と 5G のさわり
- IoT(アイオーティー):Internet of Things=モノのインターネット。家電・センサー・自動車など、あらゆる「モノ」をネットにつなげてデータを集め、活用するしくみ。
- 5G(ファイブジー):第5世代の移動通信システム。高速・大容量・低遅延・多数同時接続が特徴で、IoTの普及を支える土台になります。
〇か×で答えてみましょう。ボタンを押すと答えと解説が出ます。
Q1. 家庭や会社など、せまい範囲のネットワークを「WAN」という。
正解は ×。せまい範囲はLANです。WANはLAN同士をつなぐ広い範囲のネットワーク(インターネットなど)を指します。
Q2. DNSは、ドメイン名をIPアドレスに変換するしくみである。
正解は 〇。DNSは「電話帳」のように、わかりやすいドメイン名を、通信に必要なIPアドレスへ変換します。
Q3. IPv4は32ビット、IPv6は128ビットでIPアドレスを表す。
正解は 〇。IPv4は32ビット(約43億個)。住所が足りなくなったため、128ビットで桁違いに多くの住所を使えるIPv6が登場しました。
Q4. メールを送信するときに使うプロトコルは「POP」である。
正解は ×。送信はSMTPです。POP(およびIMAP)は受信のときに使います。「送信=SMTP、受信=POP/IMAP」で覚えましょう。
Q5. プライベートIPアドレスをグローバルIPアドレスに変換するしくみをNATという。
正解は 〇。NATは「内線⇔代表電話」の取り次ぎのように、LAN内のプライベートIPと外向けのグローバルIPを変換します。ふつうルータが行います。
Q6. スイッチ(スイッチングハブ)は、届いた信号をつながる機器全員に同じように流す。
正解は ×。全員に流すのは単純なハブです。スイッチはMACアドレスを見て宛先の機器だけに送る、かしこいハブです。
Q7. 8メガバイトのデータを16Mbpsの回線で送ると、計算上およそ4秒かかる(伝送効率100%とする)。
正解は 〇。8MB=8×8=64Mbitにそろえ、64 ÷ 16 = 4秒。「バイト→ビットは×8」「時間=データ量÷速度」がコツです。
Q1. LANとWANのちがいは?
Q2. TCPとUDPのちがいは?
Q3. データを小さく分けて送り、相手で組み立て直すしくみは?
Q4. 機器に製造時から付いている、世界で1つの固有番号は?
Q5. IPアドレスを機器に自動で割り当てるプロトコルは?
Q6. HTTPを暗号化して安全にしたプロトコルは?
Q7. 一斉送信で、ほかの受信者にアドレスを見せたくないときに使う欄は?
Q8. 通信速度の単位bpsの意味は?
📌 このレッスンのまとめ
- ネットワークは範囲で分け、せまい=LAN/広い=WAN。つなぎ方は有線とWi-Fi(無線)。
- 通信の共通ルールがプロトコル。インターネットの基盤はTCP/IPで、役割ごとに階層化されている。
- 大きなデータはパケットに分けて送る(パケット交換)。確実なTCP、速いUDP。
- IPアドレス=住所。IPv4(32ビット)/IPv6(128ビット)、グローバルとプライベートをNATで変換。ポート番号は部屋番号、MACアドレスは機器の固有番号。
- DNSはドメイン名→IPアドレスの変換(電話帳)。主なプロトコルはHTTP/HTTPS・SMTP・POP/IMAP・FTP・DHCP。
- 通信機器:ルータ(ネット同士+NAT)・ハブ(全員へ)・スイッチ(宛先だけ)・AP(無線の入口)。
- メールは送信=SMTP・受信=POP/IMAP。一斉送信はBcc。
- 速度はbps。転送時間=データ量÷速度(バイトは×8でビットにそろえる)。IoT・5Gも要チェック。