🎯 このレッスンのゴール
- SWOT分析・PPM・競争戦略など、代表的な経営戦略手法を区別できる
- BSC・KGI・KPI・CSFといった管理指標のつながりを説明できる
- マーケティングの4P(Product/Price/Place/Promotion)を覚える
- 市場細分化・ターゲティング・ポジショニングの流れをつかむ
- イノベーション・MOT・デザイン思考など技術戦略の用語が分かる
こんにちは、案内役の「アイティくん」です。経営戦略やマーケティングって、なんだかカタカナの略語ばかりで身構えちゃいますよね。でも大丈夫。ひとつひとつは「会社がどう勝つか」「どう売るか」を整理した道具にすぎません。たとえ話で意味をつかめば、試験の選択肢でもサッと見分けられますよ。
経営戦略ってなに?
経営戦略(けいえいせんりゃく)とは、会社が限られたヒト・モノ・カネ・情報を使って、ライバルに勝ち、長く生き残るための大きな方針のことです。「何で勝負するか」「どこで戦うか」「どう差をつけるか」を決めるのが戦略です。
そして、その戦略を立てたり点検したりするために、先人がいろいろな分析の道具(フレームワーク)を作ってくれました。ITパスポートでは、その道具の名前と意味を問われます。まずは代表的なものを見ていきましょう。
弱い野球部が強豪に勝つには、ただ気合いで戦うのではなく「うちは守備が固いから、1点を守り抜く試合運びをしよう」といった作戦が要りますよね。経営戦略もこれと同じ。自分の強み・弱みを見極め、勝てる土俵を選ぶための作戦づくりが戦略なのです。
代表的な経営戦略手法
ここが章のヤマです。よく出る手法を表にまとめました。「名前 → 何をする道具か」のセットで覚えるのがコツです。
| 手法 | どんな道具? |
|---|---|
| SWOT分析 | 自社の強み・弱み・機会・脅威の4つを書き出し、現状を整理する。 |
| PPM | 複数の事業を「市場成長率」と「市場シェア」で4分類し、お金の配分を考える。 |
| コアコンピタンス | 他社にマネできない、自社ならではの中核となる強み(得意技)。 |
| M&A | 他社を買収・合併して、事業や技術を一気に取り込む。 |
| アライアンス | 複数の会社が提携して協力し合う(資本関係なしも含む)。 |
| アウトソーシング | 自社業務の一部を外部に委託し、得意分野に集中する。 |
| 規模の経済 | たくさん作るほど1個あたりのコストが下がること。 |
| 範囲の経済 | 複数の事業で設備やノウハウを共用し、全体のコストを下げること。 |
| 差別化戦略 | 品質・デザイン・ブランドなどで他社と違いを出して勝つ。 |
| コストリーダーシップ戦略 | 業界でいちばん安く作れる体制を築いて価格で勝つ。 |
| ベンチマーキング | 優れた他社のやり方を手本にして測り、自社を改善する。 |
| ニッチ戦略 | 大手が狙わないすきま市場に集中して地位を築く。 |
SWOT分析をくわしく
SWOT分析は、現状を整理する超定番の道具です。4つの頭文字を、「内部か外部か」「プラスかマイナスか」のマス目に分けて考えます。
| プラス要因 | マイナス要因 | |
|---|---|---|
| 内部環境(自社) | S=強み(Strength) 例:技術力が高い | W=弱み(Weakness) 例:知名度が低い |
| 外部環境(社会) | O=機会(Opportunity) 例:市場が拡大中 | T=脅威(Threat) 例:強い競合の参入 |
強み(S)・弱み(W)は自社の中の話、機会(O)・脅威(T)は自社の外(市場や社会)の話です。「自分でコントロールできるか」で内・外を見分けると間違えません。試験では「市場の拡大は強み?機会?」のように出るので注意。市場の拡大は外部=機会です。
PPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)
PPMは、いくつもの事業(商品)をかかえる会社が「どこにお金を回し、どこから引きあげるか」を決めるための道具です。たての軸=市場成長率、横の軸=市場シェア(自社の占有率)で、4つのマスに分類します。
| 分類 | 成長率/シェア | どんな事業? |
|---|---|---|
| 花形(スター) | 成長率 高/シェア 高 | よく売れているが、競争維持にお金もかかる。育てる対象。 |
| 問題児 | 成長率 高/シェア 低 | 市場は伸びているがシェアが低い。投資して花形を狙うか見極める。 |
| 金のなる木 | 成長率 低/シェア 高 | あまり投資せずとも稼げる。ここで得た資金を他へ回す。 |
| 負け犬 | 成長率 低/シェア 低 | 将来性が乏しい。撤退・縮小を検討する。 |
「金のなる木」(成熟したヒット商品)でガッチリ稼ぎ、そのお金を「問題児」(伸びる市場で挑戦中の新商品)に投資して「花形」へ育てる――これがPPMの理想的な資金の回し方です。「負け犬」はそろそろ畳もう、と判断する材料にもなります。
分類は成長率とシェアの2つの組み合わせで決まります。成長率だけ、シェアだけでは決まりません。「成長率 高・シェア 低」は花形ではなく問題児です。表のマス目で必ず確認しましょう。
競争戦略と、そのほかの手法
ライバルに勝つための代表的な考え方が競争戦略です。大きく2つの方向があります。
- 差別化戦略:品質・デザイン・ブランド・サービスなどで「他とちがう価値」を打ち出し、多少高くても選ばれる状態を作る。
- コストリーダーシップ戦略:業界でいちばん低いコストで作れる体制を築き、価格競争で優位に立つ。
さらに、強みを生かす・効率を上げるための手法も押さえましょう。
・規模の経済=同じものをたくさん作ると1個あたり安くなる(量の話)。
・範囲の経済=複数の事業で設備・技術を共用すると全体が安くなる(種類の話)。
「量」か「種類(共用)」かで見分けます。
・M&A…他社を買って自分のものにする(買収・合併)。
・アライアンス…買わずに「提携」して協力する。
・アウトソーシング…自社の業務を外部に「委託」する。
「買う/組む/任せる」と覚えると整理できます。
経営管理の指標(BSC・KGI・KPI)
戦略を立てたら、それがうまく進んでいるか測るものさしが要ります。そこで使うのが管理指標です。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| BSC(バランススコアカード) | 「財務」「顧客」「業務プロセス」「学習と成長」の4つの視点でバランスよく業績を評価・管理する手法。 |
| KGI(重要目標達成指標) | 最終的に達成したいゴールを数値で表したもの(例:年間売上10億円)。 |
| CSF(重要成功要因) | そのゴールを達成するためにカギとなる要素(例:リピート率を上げる)。 |
| KPI(重要業績評価指標) | CSFがうまく進んでいるかを測る途中の指標(例:月間リピート率30%)。 |
| ロードマップ | 目標までの時間ごとの工程表。いつ何を実現するかを時系列で示す。 |
KGI=最終ゴール、KPI=そこへ向かう途中の通過点。マラソンでいえば、KGIが「完走(ゴール)」、KPIが「5km地点を25分で通過」のような中間の目標です。CSF(成功のカギ)を見つけ、それをKPIで測る、という流れで覚えましょう。
マーケティングと4P
マーケティングとは、「売れるしくみ」を作る活動のこと。その中心になるのがマーケティングミックス=4Pです。売り手が決める4つの要素の頭文字を取ったものです。
| 4P | 意味 | 決めること(例) |
|---|---|---|
| Product(製品) | 何を売るか | 機能・品質・デザイン・ブランド |
| Price(価格) | いくらで売るか | 定価・割引・支払い方法 |
| Place(流通) | どこで売るか | 店舗・通販・販売チャネル |
| Promotion(販売促進) | どう知らせるか | 広告・キャンペーン・宣伝 |
Product・Price・Place・Promotion、4つともPで始まります。これは売り手(会社)が決める要素という視点。これを買い手目線に置きかえた4C(Customer Value/Cost/Convenience/Communication)という考え方もあります。「4P=売り手、4C=買い手」とセットで覚えると差がつきます。
市場を切り分ける:STPの流れ
やみくもに全員へ売ろうとしても、刺さりません。そこで「市場を切り分け → 狙いを定め → 立ち位置を決める」という流れで進めます。
| ステップ | やること |
|---|---|
| ① 市場細分化 (セグメンテーション) | 年齢・地域・好みなどで市場を小さなかたまりに分ける。 |
| ② ターゲティング | 分けた中から、狙う層(ターゲット)を選ぶ。 |
| ③ ポジショニング | 競合と比べた自社の立ち位置(売り)を決める。 |
「全員に売る」より、まず客を分けます(細分化)。「健康志向の若い女性」を狙うと決め(ターゲティング)、「低糖質であんこ控えめのたい焼き」という他店にない立ち位置を打ち出す(ポジショニング)。この順に絞り込むと、ムダなく売れるしくみが作れます。
そのほかのマーケティング用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| プロダクトライフサイクル | 商品の一生を導入期→成長期→成熟期→衰退期の4段階でとらえる考え方。 |
| プロモーション | 広告・PR・販売促進など、商品を知らせて買ってもらう働きかけ。 |
| CRM | 顧客情報を活かして良い関係を長く保ち、満足度・継続購入を高める管理手法。 |
| ブランド戦略 | 商品やロゴに信頼・イメージという価値を持たせ、選ばれ続ける状態を作る。 |
| オピニオンリーダー | 新しい商品をいち早く取り入れ、周囲の購買に影響を与える人。 |
| 普及理論(イノベーター理論) | 新商品が世に広まる順を、革新者→初期採用者…と5タイプに分けて説明する理論。 |
「成熟期」に入った商品は、PPMでいう金のなる木になりやすく、「衰退期」なら負け犬として撤退を考える――というように、ライフサイクルとPPMはつながっています。段階に応じて打ち手を変えるのがポイントです。
技術戦略マネジメント
会社の戦略は、新しい技術をどう生み・活かすかとも深く関わります。ここは近年よく問われる分野です。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| イノベーション | 新しい価値を生む革新。新しい製品を生むプロダクトイノベーションと、作り方を変えるプロセスイノベーションがある。 |
| 技術開発戦略 | どの技術に投資し、いつ製品化するかという技術面の方針。 |
| MOT(技術経営) | 技術を事業の利益に結びつけるマネジメント。「良い技術」を「もうけ」に変える考え方。 |
| デザイン思考 | 利用者の立場に立ち、観察・試作・改善をくり返して本当の課題を解決する発想法。 |
| APIエコノミー | 自社の機能をAPIとして公開し、他社と組み合わせて新しい価値や経済圏を生むしくみ。 |
「世界初の折りたたみスマホを作った」=新しい製品なのでプロダクトイノベーション。「ベルトコンベヤを導入して製造時間を半分にした」=作り方の革新なのでプロセスイノベーション。何を作るか/どう作るかで見分けます。
MOT(Management Of Technology)は、すごい技術を持つこと自体が目的ではありません。その技術を事業として成り立たせ、利益につなげることが核心です。「技術を経営(もうけ)につなぐ」と覚えましょう。
用語が多くてクラクラしたかもしれませんね。でも試験で問われるのは「この言葉、どういう意味だっけ?」という素直な確認がほとんど。略語は表でひとまとめ、SWOT・PPM・4Pは仕組みでイメージ。この2つを押さえれば得点源になります。さっそく確認テストで力だめししましょう!
〇か×で答えてみましょう。ボタンを押すと答えと解説が出ます。
Q1. SWOT分析の「機会(O)」は、自社の内部にある強みを指す。
正解は ×。機会(Opportunity)は外部環境のプラス要因(市場の拡大など)です。内部の強みは「Strength(強み)」です。
Q2. PPMで「市場成長率が低く、シェアが高い」事業は、金のなる木に分類される。
正解は 〇。成長率 低・シェア 高は金のなる木。あまり投資せずに稼げ、その資金を他事業に回します。
Q3. マーケティングの4Pとは、Product・Price・Place・Promotionの4つである。
正解は 〇。製品・価格・流通・販売促進の4つで、いずれもPで始まる売り手目線の要素です。
Q4. KGIは、最終目標までの「途中経過」を測る中間的な指標である。
正解は ×。KGIは最終ゴールを表す指標です。途中経過を測るのはKPIです。役割が逆になっています。
Q5. コアコンピタンスとは、他社がまねできない自社の中核的な強みのことである。
正解は 〇。コアコンピタンスは、競合に模倣されにくい自社ならではの得意技。これを軸に戦略を組み立てます。
Q6. 製造工程に新方式を導入して生産効率を上げることは、プロダクトイノベーションである。
正解は ×。作り方を変える革新はプロセスイノベーションです。新しい製品そのものを生むのがプロダクトイノベーションです。
Q7. ベンチマーキングとは、優れた他社のやり方を手本にして自社を改善することである。
正解は 〇。ベンチマーキングは、すぐれた基準(手本)と自社を比較・測定して、ギャップを埋める改善活動です。
Q1. SWOTの4文字が表すものは?
Q2. PPMの2本の軸は何と何?
Q3. 「成長率 高・シェア 低」の事業はPPMで何と呼ぶ?
Q4. 4P(マーケティングミックス)の4つを挙げると?
Q5. KGIとKPIの違いは?
Q6. BSCが評価に使う4つの視点は?
Q7. 市場細分化→ターゲティングの次に行うステップは?
Q8. 技術を事業の利益に結びつけるマネジメントを何という?
📌 このレッスンのまとめ
- SWOT分析=強み・弱み(内部)と機会・脅威(外部)で現状を整理する道具。
- PPM=成長率とシェアで事業を花形・問題児・金のなる木・負け犬に分類し、資金配分を考える。
- 競争戦略は差別化とコストリーダーシップ。「規模の経済=量」「範囲の経済=共用」で区別。
- 外と組む手法はM&A(買う)・アライアンス(組む)・アウトソーシング(任せる)。
- 管理指標はKGI=ゴール/KPI=途中経過/CSF=成功のカギ、業績管理はBSCの4視点。
- マーケティングの中心は4P(Product/Price/Place/Promotion)、市場は細分化→ターゲティング→ポジショニングで絞る。
- 技術戦略ではプロダクト/プロセスのイノベーション、MOT、デザイン思考、APIエコノミーを押さえる。