ストラテジ系 経営 頻出

経営戦略・マーケティング

会社が勝つための戦略と、売れるしくみをやさしく。

🎯 このレッスンのゴール

  1. SWOT分析・PPM・競争戦略など、代表的な経営戦略手法を区別できる
  2. BSC・KGI・KPI・CSFといった管理指標のつながりを説明できる
  3. マーケティングの4P(Product/Price/Place/Promotion)を覚える
  4. 市場細分化・ターゲティング・ポジショニングの流れをつかむ
  5. イノベーション・MOT・デザイン思考など技術戦略の用語が分かる

こんにちは、案内役の「アイティくん」です。経営戦略やマーケティングって、なんだかカタカナの略語ばかりで身構えちゃいますよね。でも大丈夫。ひとつひとつは「会社がどう勝つか」「どう売るか」を整理した道具にすぎません。たとえ話で意味をつかめば、試験の選択肢でもサッと見分けられますよ。

経営戦略ってなに?

経営戦略(けいえいせんりゃく)とは、会社が限られたヒト・モノ・カネ・情報を使って、ライバルに勝ち、長く生き残るための大きな方針のことです。「何で勝負するか」「どこで戦うか」「どう差をつけるか」を決めるのが戦略です。

そして、その戦略を立てたり点検したりするために、先人がいろいろな分析の道具(フレームワーク)を作ってくれました。ITパスポートでは、その道具の名前と意味を問われます。まずは代表的なものを見ていきましょう。

たとえ話:戦略は「部活の作戦」

弱い野球部が強豪に勝つには、ただ気合いで戦うのではなく「うちは守備が固いから、1点を守り抜く試合運びをしよう」といった作戦が要りますよね。経営戦略もこれと同じ。自分の強み・弱みを見極め、勝てる土俵を選ぶための作戦づくりが戦略なのです。

代表的な経営戦略手法

ここが章のヤマです。よく出る手法を表にまとめました。「名前 → 何をする道具か」のセットで覚えるのがコツです。

手法どんな道具?
SWOT分析自社の強み・弱み・機会・脅威の4つを書き出し、現状を整理する。
PPM複数の事業を「市場成長率」と「市場シェア」で4分類し、お金の配分を考える。
コアコンピタンス他社にマネできない、自社ならではの中核となる強み(得意技)
M&A他社を買収・合併して、事業や技術を一気に取り込む。
アライアンス複数の会社が提携して協力し合う(資本関係なしも含む)。
アウトソーシング自社業務の一部を外部に委託し、得意分野に集中する。
規模の経済たくさん作るほど1個あたりのコストが下がること。
範囲の経済複数の事業で設備やノウハウを共用し、全体のコストを下げること。
差別化戦略品質・デザイン・ブランドなどで他社と違いを出して勝つ。
コストリーダーシップ戦略業界でいちばん安く作れる体制を築いて価格で勝つ。
ベンチマーキング優れた他社のやり方を手本にして測り、自社を改善する。
ニッチ戦略大手が狙わないすきま市場に集中して地位を築く。

SWOT分析をくわしく

SWOT分析は、現状を整理する超定番の道具です。4つの頭文字を、「内部か外部か」「プラスかマイナスか」のマス目に分けて考えます。

プラス要因マイナス要因
内部環境(自社)S=強み(Strength)
例:技術力が高い
W=弱み(Weakness)
例:知名度が低い
外部環境(社会)O=機会(Opportunity)
例:市場が拡大中
T=脅威(Threat)
例:強い競合の参入
ここが大事:内部と外部を取りちがえない

強み(S)・弱み(W)は自社の中の話、機会(O)・脅威(T)は自社の外(市場や社会)の話です。「自分でコントロールできるか」で内・外を見分けると間違えません。試験では「市場の拡大は強み?機会?」のように出るので注意。市場の拡大は外部=機会です。

PPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)

PPMは、いくつもの事業(商品)をかかえる会社が「どこにお金を回し、どこから引きあげるか」を決めるための道具です。たての軸=市場成長率横の軸=市場シェア(自社の占有率)で、4つのマスに分類します。

分類成長率/シェアどんな事業?
花形(スター)成長率 高/シェア 高よく売れているが、競争維持にお金もかかる。育てる対象。
問題児成長率 高/シェア 低市場は伸びているがシェアが低い。投資して花形を狙うか見極める。
金のなる木成長率 低/シェア 高あまり投資せずとも稼げる。ここで得た資金を他へ回す。
負け犬成長率 低/シェア 低将来性が乏しい。撤退・縮小を検討する。
具体例:お金の流れをイメージ

「金のなる木」(成熟したヒット商品)でガッチリ稼ぎ、そのお金を「問題児」(伸びる市場で挑戦中の新商品)に投資して「花形」へ育てる――これがPPMの理想的な資金の回し方です。「負け犬」はそろそろ畳もう、と判断する材料にもなります。

注意:「成長率が高い=花形」ではない

分類は成長率とシェアの2つの組み合わせで決まります。成長率だけ、シェアだけでは決まりません。「成長率 高・シェア 低」は花形ではなく問題児です。表のマス目で必ず確認しましょう。

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競争戦略と、そのほかの手法

ライバルに勝つための代表的な考え方が競争戦略です。大きく2つの方向があります。

さらに、強みを生かす・効率を上げるための手法も押さえましょう。

「経済」がつく2つの言葉を区別

規模の経済同じものをたくさん作ると1個あたり安くなる(量の話)。
範囲の経済複数の事業で設備・技術を共用すると全体が安くなる(種類の話)。
「量」か「種類(共用)」かで見分けます。

具体例:外と組む3つの言葉

M&A…他社を買って自分のものにする(買収・合併)。
アライアンス…買わずに「提携」して協力する。
アウトソーシング…自社の業務を外部に「委託」する。
「買う/組む/任せる」と覚えると整理できます。

経営管理の指標(BSC・KGI・KPI)

戦略を立てたら、それがうまく進んでいるか測るものさしが要ります。そこで使うのが管理指標です。

用語意味
BSC(バランススコアカード)「財務」「顧客」「業務プロセス」「学習と成長」の4つの視点でバランスよく業績を評価・管理する手法。
KGI(重要目標達成指標)最終的に達成したいゴールを数値で表したもの(例:年間売上10億円)。
CSF(重要成功要因)そのゴールを達成するためにカギとなる要素(例:リピート率を上げる)。
KPI(重要業績評価指標)CSFがうまく進んでいるかを測る途中の指標(例:月間リピート率30%)。
ロードマップ目標までの時間ごとの工程表。いつ何を実現するかを時系列で示す。
KGIとKPIの関係をひと言で

KGI=最終ゴールKPI=そこへ向かう途中の通過点。マラソンでいえば、KGIが「完走(ゴール)」、KPIが「5km地点を25分で通過」のような中間の目標です。CSF(成功のカギ)を見つけ、それをKPIで測る、という流れで覚えましょう。

マーケティングと4P

マーケティングとは、「売れるしくみ」を作る活動のこと。その中心になるのがマーケティングミックス=4Pです。売り手が決める4つの要素の頭文字を取ったものです。

4P意味決めること(例)
Product(製品)何を売るか機能・品質・デザイン・ブランド
Price(価格)いくらで売るか定価・割引・支払い方法
Place(流通)どこで売るか店舗・通販・販売チャネル
Promotion(販売促進)どう知らせるか広告・キャンペーン・宣伝
注意:4PはすべてPで始まる「売り手目線」

Product・Price・Place・Promotion、4つともPで始まります。これは売り手(会社)が決める要素という視点。これを買い手目線に置きかえた4C(Customer Value/Cost/Convenience/Communication)という考え方もあります。「4P=売り手、4C=買い手」とセットで覚えると差がつきます。

市場を切り分ける:STPの流れ

やみくもに全員へ売ろうとしても、刺さりません。そこで「市場を切り分け → 狙いを定め → 立ち位置を決める」という流れで進めます。

ステップやること
① 市場細分化
(セグメンテーション)
年齢・地域・好みなどで市場を小さなかたまりに分ける。
② ターゲティング分けた中から、狙う層(ターゲット)を選ぶ。
③ ポジショニング競合と比べた自社の立ち位置(売り)を決める。
たとえ話:たい焼き屋さん

「全員に売る」より、まず客を分けます(細分化)。「健康志向の若い女性」を狙うと決め(ターゲティング)、「低糖質であんこ控えめのたい焼き」という他店にない立ち位置を打ち出す(ポジショニング)。この順に絞り込むと、ムダなく売れるしくみが作れます。

そのほかのマーケティング用語

用語意味
プロダクトライフサイクル商品の一生を導入期→成長期→成熟期→衰退期の4段階でとらえる考え方。
プロモーション広告・PR・販売促進など、商品を知らせて買ってもらう働きかけ。
CRM顧客情報を活かして良い関係を長く保ち、満足度・継続購入を高める管理手法。
ブランド戦略商品やロゴに信頼・イメージという価値を持たせ、選ばれ続ける状態を作る。
オピニオンリーダー新しい商品をいち早く取り入れ、周囲の購買に影響を与える人。
普及理論(イノベーター理論)新商品が世に広まる順を、革新者→初期採用者…と5タイプに分けて説明する理論。
プロダクトライフサイクルの使いどころ

「成熟期」に入った商品は、PPMでいう金のなる木になりやすく、「衰退期」なら負け犬として撤退を考える――というように、ライフサイクルとPPMはつながっています。段階に応じて打ち手を変えるのがポイントです。

技術戦略マネジメント

会社の戦略は、新しい技術をどう生み・活かすかとも深く関わります。ここは近年よく問われる分野です。

用語意味
イノベーション新しい価値を生む革新。新しい製品を生むプロダクトイノベーションと、作り方を変えるプロセスイノベーションがある。
技術開発戦略どの技術に投資し、いつ製品化するかという技術面の方針
MOT(技術経営)技術を事業の利益に結びつけるマネジメント。「良い技術」を「もうけ」に変える考え方。
デザイン思考利用者の立場に立ち、観察・試作・改善をくり返して本当の課題を解決する発想法。
APIエコノミー自社の機能をAPIとして公開し、他社と組み合わせて新しい価値や経済圏を生むしくみ。
具体例:2つのイノベーション

「世界初の折りたたみスマホを作った」=新しい製品なのでプロダクトイノベーション。「ベルトコンベヤを導入して製造時間を半分にした」=作りの革新なのでプロセスイノベーション。何を作るか/どう作るかで見分けます。

注意:MOTは「技術自慢」ではない

MOT(Management Of Technology)は、すごい技術を持つこと自体が目的ではありません。その技術を事業として成り立たせ、利益につなげることが核心です。「技術を経営(もうけ)につなぐ」と覚えましょう。

用語が多くてクラクラしたかもしれませんね。でも試験で問われるのは「この言葉、どういう意味だっけ?」という素直な確認がほとんど。略語は表でひとまとめSWOT・PPM・4Pは仕組みでイメージ。この2つを押さえれば得点源になります。さっそく確認テストで力だめししましょう!

演習確認テスト(○×・全7問)

〇か×で答えてみましょう。ボタンを押すと答えと解説が出ます。

Q1. SWOT分析の「機会(O)」は、自社の内部にある強みを指す。

正解は ×。機会(Opportunity)は外部環境のプラス要因(市場の拡大など)です。内部の強みは「Strength(強み)」です。

Q2. PPMで「市場成長率が低く、シェアが高い」事業は、金のなる木に分類される。

正解は 。成長率 低・シェア 高は金のなる木。あまり投資せずに稼げ、その資金を他事業に回します。

Q3. マーケティングの4Pとは、Product・Price・Place・Promotionの4つである。

正解は 。製品・価格・流通・販売促進の4つで、いずれもPで始まる売り手目線の要素です。

Q4. KGIは、最終目標までの「途中経過」を測る中間的な指標である。

正解は ×KGIは最終ゴールを表す指標です。途中経過を測るのはKPIです。役割が逆になっています。

Q5. コアコンピタンスとは、他社がまねできない自社の中核的な強みのことである。

正解は 。コアコンピタンスは、競合に模倣されにくい自社ならではの得意技。これを軸に戦略を組み立てます。

Q6. 製造工程に新方式を導入して生産効率を上げることは、プロダクトイノベーションである。

正解は ×。作りを変える革新はプロセスイノベーションです。新しい製品そのものを生むのがプロダクトイノベーションです。

Q7. ベンチマーキングとは、優れた他社のやり方を手本にして自社を改善することである。

正解は 。ベンチマーキングは、すぐれた基準(手本)と自社を比較・測定して、ギャップを埋める改善活動です。

暗記一問一答(全8問)
Q1. SWOTの4文字が表すものは?
A. S=強み、W=弱み、O=機会、T=脅威。S・Wは内部、O・Tは外部の要因です。
Q2. PPMの2本の軸は何と何?
A. 市場成長率市場シェアです。この組み合わせで花形・問題児・金のなる木・負け犬に分類します。
Q3. 「成長率 高・シェア 低」の事業はPPMで何と呼ぶ?
A. 問題児です。投資して花形へ育てるか、見極めが必要な事業です。
Q4. 4P(マーケティングミックス)の4つを挙げると?
A. Product(製品)・Price(価格)・Place(流通)・Promotion(販売促進)です。
Q5. KGIとKPIの違いは?
A. KGI=最終目標を表す指標、KPI=その途中経過を測る指標です。CSF(成功のカギ)をKPIで測ります。
Q6. BSCが評価に使う4つの視点は?
A. 財務・顧客・業務プロセス・学習と成長の4視点です。バランスよく業績を管理します。
Q7. 市場細分化→ターゲティングの次に行うステップは?
A. ポジショニングです。競合と比べた自社の立ち位置(売り)を決めます。
Q8. 技術を事業の利益に結びつけるマネジメントを何という?
A. MOT(技術経営)です。良い技術を「もうけ」に変えることを目的とします。

📌 このレッスンのまとめ

  • SWOT分析=強み・弱み(内部)と機会・脅威(外部)で現状を整理する道具。
  • PPM=成長率とシェアで事業を花形・問題児・金のなる木・負け犬に分類し、資金配分を考える。
  • 競争戦略は差別化コストリーダーシップ。「規模の経済=量」「範囲の経済=共用」で区別。
  • 外と組む手法はM&A(買う)・アライアンス(組む)・アウトソーシング(任せる)
  • 管理指標はKGI=ゴール/KPI=途中経過/CSF=成功のカギ、業績管理はBSCの4視点。
  • マーケティングの中心は4P(Product/Price/Place/Promotion)、市場は細分化→ターゲティング→ポジショニングで絞る。
  • 技術戦略ではプロダクト/プロセスのイノベーションMOTデザイン思考APIエコノミーを押さえる。